ニュースレター「サンゴ礁の自然環境」

2016年10月号

海面に雪だるま!?~ウミショウブの雄花~

2014年11月号

スナギンチャクの繁殖

2015年12月号

沖縄のカブトガニは夢か幻か

2017年7月号

夜の海の派手な世界

中央で開いているのが雌花で開花している状態です。こちらはしっかり植物って感じですよね。写真の雌花の中央には先ほどお見せした雄花が集まっており、ちょうど雄花が雌花に捉えられたところです。 ウミショウブの繁殖 多くの植物は、花粉を飛ばしてめしべと受粉させたり(花粉症の流行りだすシーズンになるとよくテレビなんかで見かける映像のような)、他の生き物に花粉をつけさせて運ばせたりする手段をとっています。 ではウミショウブはどうなのでしょうか。なんと言っても特徴的なのは1枚目の写真でお見せした可愛らしい雄花です。雄花は受粉シーズンである6~9月頃になると、成熟した本体から切り離され、水面に顔を出します。そして花弁がひっくり返るようにして開き、雪だるまやベ○マックスのような愛くるしい形になって水面に直立します。そして風や波の力を借りて海面を滑り出します。そして下の写真にあるように、ときにまとまっている雄花の白さと海の青さのコントラストには美しさすら覚えます。
 一方、雌花は浮力が大きく、水面に張り付くようにして開花します。そこに放出されて水面を滑っている雄花が雌花に取り込まれるような形で受粉します。しかし雌花の背丈は水面に花を出すには短く、ちょうど大潮の干潮時にやっと水面に届くようになります。雄花の放出と雌花の開花はこの大潮の干潮時に合わせて起こります。 こうして大潮の干潮時には、滑ってきた(流されてきた)雄花は海面で顔を出している雌花に引っかかると内部に流れ込み、潮が満ちてくると雄花を包み込むようにして海水中へ沈み受粉が終わります。これはウミショウブだけが行う受粉のやり方で他の植物には見られません。 エピローグ 沖縄の自然を象徴するサンゴや色鮮やかな熱帯魚に世間の注目がいきがちですが、本州では見られない、変わった生態をもつ珍しい植物もたくさん沖縄には生育しているのです。自分自身、ウミショウブのようなユニークな植物に魅せられて、植物の世界にはまっていく可能性もあったのではないかなぁと思いました。自らの意思があるかのように動き出すウミショウブの雄花は私に様々な生物学的な疑問を持ち帰らせてくれました。まるで雌花を探して動いているようにも見えるその動きは、実は風や波によって動いているのではなく、雌花がフェロモンなどの誘導物質を雄花は感じ取っているのではないか、はたまた磁力のような陰と陽の引き合いがあるのではないか、と考えさせてくれました。みなさんも是非一度、ウミショウブが海面一杯に広がる光景を目にしてみて、美しさに見とれつつもなぜこの現象が起こるのか、と疑問を抱いてみてはいかがでしょうか。 執筆者 和泉 遼太郎
海面に雪だるま!?~ウミショウブの雄花~
プロローグ 沖縄県では沖縄本島に次ぐ大きさの西表島。島のほとんどが亜熱帯の自然林で覆われており、イリオモテヤマネコをはじめとする多種多様な珍しい生物が生息しています。さて今回はそんな西表島の海岸に植生しているウミショウブという植物をご紹介したいと思います。あまり植物に詳しくない筆者ではありますが、ウミショウブはそんな私を魅了してくれました。 ウミショウブを観に
 フィールドにやってきました。ここは西表島北西部に位置する祖納海岸。西表島の主要な港である上原港からはバスで15分ほどの祖納というバス停からアクセスできます。非常に遠浅の海岸で、アウトリーフまではずっと膝丈ほどの深度が続いています。遠浅の海中を歩くこと1分ほどで早速ウミショウブが見えてきました。百聞は一見にしかず、こちらです。
写真中央の白いポツンとしたものがそうです。一見植物かどうか、はたまたWebページの読み込みミスではないかと疑わしく思われたのではないでしょうか。海面に直立していて非常にかわいらしいですよね。これは花粉を持った雄花が植物本体から切り離されてこうなります。ちなみに雌花ははというとこちらです。
中央で開いているのが雌花で開花している状態です。こちらはしっかり植物って感じですよね。写真の雌花の中央には先ほどお見せした雄花が集まっており、ちょうど雄花が雌花に捉えられたところです。 ウミショウブの繁殖 多くの植物は、花粉を飛ばしてめしべと受粉させたり(花粉症の流行りだすシーズンになるとよくテレビなんかで見かける映像のような)、他の生き物に花粉をつけさせて運ばせたりする手段をとっています。 ではウミショウブはどうなのでしょうか。なんと言っても特徴的なのは1枚目の写真でお見せした可愛らしい雄花です。雄花は受粉シーズンである6~9月頃になると、成熟した本体から切り離され、水面に顔を出します。そして花弁がひっくり返るようにして開き、雪だるまやベ○マックスのような愛くるしい形になって水面に直立します。そして風や波の力を借りて海面を滑り出します。そして下の写真にあるように、ときにまとまっている雄花の白さと海の青さのコントラストには美しさすら覚えます。
 一方、雌花は浮力が大きく、水面に張り付くようにして開花します。そこに放出されて水面を滑っている雄花が雌花に取り込まれるような形で受粉します。しかし雌花の背丈は水面に花を出すには短く、ちょうど大潮の干潮時にやっと水面に届くようになります。雄花の放出と雌花の開花はこの大潮の干潮時に合わせて起こります。 こうして大潮の干潮時には、滑ってきた(流されてきた)雄花は海面で顔を出している雌花に引っかかると内部に流れ込み、潮が満ちてくると雄花を包み込むようにして海水中へ沈み受粉が終わります。これはウミショウブだけが行う受粉のやり方で他の植物には見られません。 エピローグ 沖縄の自然を象徴するサンゴや色鮮やかな熱帯魚に世間の注目がいきがちですが、本州では見られない、変わった生態をもつ珍しい植物もたくさん沖縄には生育しているのです。自分自身、ウミショウブのようなユニークな植物に魅せられて、植物の世界にはまっていく可能性もあったのではないかなぁと思いました。自らの意思があるかのように動き出すウミショウブの雄花は私に様々な生物学的な疑問を持ち帰らせてくれました。まるで雌花を探して動いているようにも見えるその動きは、実は風や波によって動いているのではなく、雌花がフェロモンなどの誘導物質を雄花は感じ取っているのではないか、はたまた磁力のような陰と陽の引き合いがあるのではないか、と考えさせてくれました。みなさんも是非一度、ウミショウブが海面一杯に広がる光景を目にしてみて、美しさに見とれつつもなぜこの現象が起こるのか、と疑問を抱いてみてはいかがでしょうか。 執筆者 和泉 遼太郎
海面に雪だるま!?~ウミショウブの雄花~
プロローグ 沖縄県では沖縄本島に次ぐ大きさの西表島。島のほとんどが亜熱帯の自然林で覆われており、イリオモテヤマネコをはじめとする多種多様な珍しい生物が生息しています。さて今回はそんな西表島の海岸に植生しているウミショウブという植物をご紹介したいと思います。あまり植物に詳しくない筆者ではありますが、ウミショウブはそんな私を魅了してくれました。 ウミショウブを観に
 フィールドにやってきました。ここは西表島北西部に位置する祖納海岸。西表島の主要な港である上原港からはバスで15分ほどの祖納というバス停からアクセスできます。非常に遠浅の海岸で、アウトリーフまではずっと膝丈ほどの深度が続いています。遠浅の海中を歩くこと1分ほどで早速ウミショウブが見えてきました。百聞は一見にしかず、こちらです。
写真中央の白いポツンとしたものがそうです。一見植物かどうか、はたまたWebページの読み込みミスではないかと疑わしく思われたのではないでしょうか。海面に直立していて非常にかわいらしいですよね。これは花粉を持った雄花が植物本体から切り離されてこうなります。ちなみに雌花ははというとこちらです。
中央で開いているのが雌花で開花している状態です。こちらはしっかり植物って感じですよね。写真の雌花の中央には先ほどお見せした雄花が集まっており、ちょうど雄花が雌花に捉えられたところです。 ウミショウブの繁殖 多くの植物は、花粉を飛ばしてめしべと受粉させたり(花粉症の流行りだすシーズンになるとよくテレビなんかで見かける映像のような)、他の生き物に花粉をつけさせて運ばせたりする手段をとっています。 ではウミショウブはどうなのでしょうか。なんと言っても特徴的なのは1枚目の写真でお見せした可愛らしい雄花です。雄花は受粉シーズンである6~9月頃になると、成熟した本体から切り離され、水面に顔を出します。そして花弁がひっくり返るようにして開き、雪だるまやベ○マックスのような愛くるしい形になって水面に直立します。そして風や波の力を借りて海面を滑り出します。そして下の写真にあるように、ときにまとまっている雄花の白さと海の青さのコントラストには美しさすら覚えます。
 一方、雌花は浮力が大きく、水面に張り付くようにして開花します。そこに放出されて水面を滑っている雄花が雌花に取り込まれるような形で受粉します。しかし雌花の背丈は水面に花を出すには短く、ちょうど大潮の干潮時にやっと水面に届くようになります。雄花の放出と雌花の開花はこの大潮の干潮時に合わせて起こります。 こうして大潮の干潮時には、滑ってきた(流されてきた)雄花は海面で顔を出している雌花に引っかかると内部に流れ込み、潮が満ちてくると雄花を包み込むようにして海水中へ沈み受粉が終わります。これはウミショウブだけが行う受粉のやり方で他の植物には見られません。 エピローグ 沖縄の自然を象徴するサンゴや色鮮やかな熱帯魚に世間の注目がいきがちですが、本州では見られない、変わった生態をもつ珍しい植物もたくさん沖縄には生育しているのです。自分自身、ウミショウブのようなユニークな植物に魅せられて、植物の世界にはまっていく可能性もあったのではないかなぁと思いました。自らの意思があるかのように動き出すウミショウブの雄花は私に様々な生物学的な疑問を持ち帰らせてくれました。まるで雌花を探して動いているようにも見えるその動きは、実は風や波によって動いているのではなく、雌花がフェロモンなどの誘導物質を雄花は感じ取っているのではないか、はたまた磁力のような陰と陽の引き合いがあるのではないか、と考えさせてくれました。みなさんも是非一度、ウミショウブが海面一杯に広がる光景を目にしてみて、美しさに見とれつつもなぜこの現象が起こるのか、と疑問を抱いてみてはいかがでしょうか。 執筆者 和泉 遼太郎
海面に雪だるま!?~ウミショウブの雄花~
プロローグ 沖縄県では沖縄本島に次ぐ大きさの西表島。島のほとんどが亜熱帯の自然林で覆われており、イリオモテヤマネコをはじめとする多種多様な珍しい生物が生息しています。さて今回はそんな西表島の海岸に植生しているウミショウブという植物をご紹介したいと思います。あまり植物に詳しくない筆者ではありますが、ウミショウブはそんな私を魅了してくれました。 ウミショウブを観に
 フィールドにやってきました。ここは西表島北西部に位置する祖納海岸。西表島の主要な港である上原港からはバスで15分ほどの祖納というバス停からアクセスできます。非常に遠浅の海岸で、アウトリーフまではずっと膝丈ほどの深度が続いています。遠浅の海中を歩くこと1分ほどで早速ウミショウブが見えてきました。百聞は一見にしかず、こちらです。
写真中央の白いポツンとしたものがそうです。一見植物かどうか、はたまたWebページの読み込みミスではないかと疑わしく思われたのではないでしょうか。海面に直立していて非常にかわいらしいですよね。これは花粉を持った雄花が植物本体から切り離されてこうなります。ちなみに雌花ははというとこちらです。
中央で開いているのが雌花で開花している状態です。こちらはしっかり植物って感じですよね。写真の雌花の中央には先ほどお見せした雄花が集まっており、ちょうど雄花が雌花に捉えられたところです。 ウミショウブの繁殖 多くの植物は、花粉を飛ばしてめしべと受粉させたり(花粉症の流行りだすシーズンになるとよくテレビなんかで見かける映像のような)、他の生き物に花粉をつけさせて運ばせたりする手段をとっています。 ではウミショウブはどうなのでしょうか。なんと言っても特徴的なのは1枚目の写真でお見せした可愛らしい雄花です。雄花は受粉シーズンである6~9月頃になると、成熟した本体から切り離され、水面に顔を出します。そして花弁がひっくり返るようにして開き、雪だるまやベ○マックスのような愛くるしい形になって水面に直立します。そして風や波の力を借りて海面を滑り出します。そして下の写真にあるように、ときにまとまっている雄花の白さと海の青さのコントラストには美しさすら覚えます。
 一方、雌花は浮力が大きく、水面に張り付くようにして開花します。そこに放出されて水面を滑っている雄花が雌花に取り込まれるような形で受粉します。しかし雌花の背丈は水面に花を出すには短く、ちょうど大潮の干潮時にやっと水面に届くようになります。雄花の放出と雌花の開花はこの大潮の干潮時に合わせて起こります。 こうして大潮の干潮時には、滑ってきた(流されてきた)雄花は海面で顔を出している雌花に引っかかると内部に流れ込み、潮が満ちてくると雄花を包み込むようにして海水中へ沈み受粉が終わります。これはウミショウブだけが行う受粉のやり方で他の植物には見られません。 エピローグ 沖縄の自然を象徴するサンゴや色鮮やかな熱帯魚に世間の注目がいきがちですが、本州では見られない、変わった生態をもつ珍しい植物もたくさん沖縄には生育しているのです。自分自身、ウミショウブのようなユニークな植物に魅せられて、植物の世界にはまっていく可能性もあったのではないかなぁと思いました。自らの意思があるかのように動き出すウミショウブの雄花は私に様々な生物学的な疑問を持ち帰らせてくれました。まるで雌花を探して動いているようにも見えるその動きは、実は風や波によって動いているのではなく、雌花がフェロモンなどの誘導物質を雄花は感じ取っているのではないか、はたまた磁力のような陰と陽の引き合いがあるのではないか、と考えさせてくれました。みなさんも是非一度、ウミショウブが海面一杯に広がる光景を目にしてみて、美しさに見とれつつもなぜこの現象が起こるのか、と疑問を抱いてみてはいかがでしょうか。 執筆者 和泉 遼太郎
海面に雪だるま!?~ウミショウブの雄花~
プロローグ 沖縄県では沖縄本島に次ぐ大きさの西表島。島のほとんどが亜熱帯の自然林で覆われており、イリオモテヤマネコをはじめとする多種多様な珍しい生物が生息しています。さて今回はそんな西表島の海岸に植生しているウミショウブという植物をご紹介したいと思います。あまり植物に詳しくない筆者ではありますが、ウミショウブはそんな私を魅了してくれました。 ウミショウブを観に
 フィールドにやってきました。ここは西表島北西部に位置する祖納海岸。西表島の主要な港である上原港からはバスで15分ほどの祖納というバス停からアクセスできます。非常に遠浅の海岸で、アウトリーフまではずっと膝丈ほどの深度が続いています。遠浅の海中を歩くこと1分ほどで早速ウミショウブが見えてきました。百聞は一見にしかず、こちらです。
写真中央の白いポツンとしたものがそうです。一見植物かどうか、はたまたWebページの読み込みミスではないかと疑わしく思われたのではないでしょうか。海面に直立していて非常にかわいらしいですよね。これは花粉を持った雄花が植物本体から切り離されてこうなります。ちなみに雌花ははというとこちらです。
中央で開いているのが雌花で開花している状態です。こちらはしっかり植物って感じですよね。写真の雌花の中央には先ほどお見せした雄花が集まっており、ちょうど雄花が雌花に捉えられたところです。 ウミショウブの繁殖 多くの植物は、花粉を飛ばしてめしべと受粉させたり(花粉症の流行りだすシーズンになるとよくテレビなんかで見かける映像のような)、他の生き物に花粉をつけさせて運ばせたりする手段をとっています。 ではウミショウブはどうなのでしょうか。なんと言っても特徴的なのは1枚目の写真でお見せした可愛らしい雄花です。雄花は受粉シーズンである6~9月頃になると、成熟した本体から切り離され、水面に顔を出します。そして花弁がひっくり返るようにして開き、雪だるまやベ○マックスのような愛くるしい形になって水面に直立します。そして風や波の力を借りて海面を滑り出します。そして下の写真にあるように、ときにまとまっている雄花の白さと海の青さのコントラストには美しさすら覚えます。
 一方、雌花は浮力が大きく、水面に張り付くようにして開花します。そこに放出されて水面を滑っている雄花が雌花に取り込まれるような形で受粉します。しかし雌花の背丈は水面に花を出すには短く、ちょうど大潮の干潮時にやっと水面に届くようになります。雄花の放出と雌花の開花はこの大潮の干潮時に合わせて起こります。 こうして大潮の干潮時には、滑ってきた(流されてきた)雄花は海面で顔を出している雌花に引っかかると内部に流れ込み、潮が満ちてくると雄花を包み込むようにして海水中へ沈み受粉が終わります。これはウミショウブだけが行う受粉のやり方で他の植物には見られません。 エピローグ 沖縄の自然を象徴するサンゴや色鮮やかな熱帯魚に世間の注目がいきがちですが、本州では見られない、変わった生態をもつ珍しい植物もたくさん沖縄には生育しているのです。自分自身、ウミショウブのようなユニークな植物に魅せられて、植物の世界にはまっていく可能性もあったのではないかなぁと思いました。自らの意思があるかのように動き出すウミショウブの雄花は私に様々な生物学的な疑問を持ち帰らせてくれました。まるで雌花を探して動いているようにも見えるその動きは、実は風や波によって動いているのではなく、雌花がフェロモンなどの誘導物質を雄花は感じ取っているのではないか、はたまた磁力のような陰と陽の引き合いがあるのではないか、と考えさせてくれました。みなさんも是非一度、ウミショウブが海面一杯に広がる光景を目にしてみて、美しさに見とれつつもなぜこの現象が起こるのか、と疑問を抱いてみてはいかがでしょうか。 執筆者 和泉 遼太郎