ニュースレター「サンゴ礁の自然環境」

2014年10月号

サンゴを彩る蛍光タンパク質の役割

 サンゴの色と言えば、皆さんは何色を思い浮かべるでしょうか?水族館やダイビングでサンゴを観察したことがある人なら、地味な茶色から青、赤、緑、紫、ド派手なピンクまで様々な色が思いつくでしょう。この鮮やかな色彩はサンゴ礁の海を訪れる人々の目を引き、これまで多くのダイバーやアクアリスト(サンゴをはじめとする水生生物を水槽で飼う愛好家)を魅了してきました。 サンゴの色彩は、サンゴの体内に共生する褐虫藻の色(主に茶色)とサンゴ自身が作る色素によって決まります。このサンゴ自身が作る色素のうち、主に「蛍光タンパク質」と呼ばれるタンパク質があの鮮やかな色彩を表しています。蛍光タンパク質といえば、2008年のノーベル化学賞は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を発見した下村脩博士が受賞しています。クラゲとサンゴは同じ刺胞動物の仲間なので、サンゴもこのGFPに類似した蛍光タンパク質を持っているのです。蛍光タンパク質は光の色を変換するタンパク質で、例えばGFPの場合だと、吸収した青色の光を緑色に変換して放出します。この放出された光を「蛍光」と呼びます。上の写真は実際にGFPをもつアザミサンゴに青色の光を当てた時の様子です。GFPによる緑色の蛍光がよくわかります。そしてこの蛍光タンパク質は、思わず目を奪われてしまうような蛍光を発するだけでなく、サンゴと褐虫藻にとって重要な役割を担っていると考えられています。 潮が引いた浅瀬や潮だまりの中では、サンゴは強い太陽光を浴びます。太陽光には紫外線や青色の光が含まれており、これらの光は褐虫藻が行う光合成の効率を大きく低下させます。このような強光によるストレスが長く続くと、サンゴが白化する原因の一つになります。これに対して蛍光タンパク質は、サンゴの体内で褐虫藻が浴びる太陽光を遮ったり、紫外線や青色の光をより害の少ない緑色の光に変換したりすることで、強光ストレスを軽減していると考えられています。サンゴが作る色鮮やかな蛍光タンパク質のマントが褐虫藻を覆うことで、褐虫藻を強光ストレスから守っているのです。 蛍光タンパク質の機能については、今回紹介した機能以外にも様々な仮説が唱えられており、現在も研究がなされています。サンゴ礁の海を彩る蛍光タンパク質にどのような機能が隠されているのか、その色鮮やかさ以上に興味をくすぐられますね。 執筆者 仲栄真 礁

2015年8月号

スツボサンゴはどこへ行く?

2015年9月号

貝殻にまん丸の穴を開けたのは誰?

2015年10月号

電灯潜り漁の世界

2015年11月号

フジツボに魅せられて脚まねきが誘うフジツボの世界

2015年12月号

沖縄のカブトガニは夢か幻か

2016年2月号

沖縄の海への憧れから研究へ

2016年3月号

子供から学ぶハマダイコンの事実

2016年4月号

こどもたちに大人気のクワガタムシ!じゃあ、海のクワガタムシは?

2016年5月号

これであなたも魚通!?~方言から迫る沖縄の食用魚~

2016年6月号

タカラガイの世界

2016年7月号

-国際サンゴ礁学会ハワイ大会-体験記

2016年9月号

サンゴの運命は如何に!?

2016年10月号

海面に雪だるま!?

~ウミショウブの雄花~

2017年4月号

春の代名詞を知る

~沖縄と本土の桜の違いとは?~

2017年5月号

沖縄の熱いビール文化

~知られざるサンゴとビールの関係~

2017年6月号

月を感じる沖縄の生き物

2017年7月号

夜の海の派手な世界

2017年8月号

沖縄の海の現在と未来

2017年9月号

サンゴの一斉産卵から見る環境の変化

2017年10月号

知ってますか? スクガラス

2017年11月号

陸の中の海

ーアンキアライン洞窟にくらす不思議な生き物たちー

2018年2月号

「海と過ごした6年間〜サンゴの研究を通じて〜」

2018年3月号

サンゴの海の漁業

 サンゴの色と言えば、皆さんは何色を思い浮かべるでしょうか?水族館やダイビングでサンゴを観察したことがある人なら、地味な茶色から青、赤、緑、紫、ド派手なピンクまで様々な色が思いつくでしょう。この鮮やかな色彩はサンゴ礁の海を訪れる人々の目を引き、これまで多くのダイバーやアクアリスト(サンゴをはじめとする水生生物を水槽で飼う愛好家)を魅了してきました。 サンゴの色彩は、サンゴの体内に共生する褐虫藻の色(主に茶色)とサンゴ自身が作る色素によって決まります。このサンゴ自身が作る色素のうち、主に「蛍光タンパク質」と呼ばれるタンパク質があの鮮やかな色彩を表しています。蛍光タンパク質といえば、2008年のノーベル化学賞は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を発見した下村脩博士が受賞しています。クラゲとサンゴは同じ刺胞動物の仲間なので、サンゴもこのGFPに類似した蛍光タンパク質を持っているのです。蛍光タンパク質は光の色を変換するタンパク質で、例えばGFPの場合だと、吸収した青色の光を緑色に変換して放出します。この放出された光を「蛍光」と呼びます。上の写真は実際にGFPをもつアザミサンゴに青色の光を当てた時の様子です。GFPによる緑色の蛍光がよくわかります。そしてこの蛍光タンパク質は、思わず目を奪われてしまうような蛍光を発するだけでなく、サンゴと褐虫藻にとって重要な役割を担っていると考えられています。 潮が引いた浅瀬や潮だまりの中では、サンゴは強い太陽光を浴びます。太陽光には紫外線や青色の光が含まれており、これらの光は褐虫藻が行う光合成の効率を大きく低下させます。このような強光によるストレスが長く続くと、サンゴが白化する原因の一つになります。これに対して蛍光タンパク質は、サンゴの体内で褐虫藻が浴びる太陽光を遮ったり、紫外線や青色の光をより害の少ない緑色の光に変換したりすることで、強光ストレスを軽減していると考えられています。サンゴが作る色鮮やかな蛍光タンパク質のマントが褐虫藻を覆うことで、褐虫藻を強光ストレスから守っているのです。 蛍光タンパク質の機能については、今回紹介した機能以外にも様々な仮説が唱えられており、現在も研究がなされています。サンゴ礁の海を彩る蛍光タンパク質にどのような機能が隠されているのか、その色鮮やかさ以上に興味をくすぐられますね。 執筆者 仲栄真 礁
 サンゴの色と言えば、皆さんは何色を思い浮かべるでしょうか?水族館やダイビングでサンゴを観察したことがある人なら、地味な茶色から青、赤、緑、紫、ド派手なピンクまで様々な色が思いつくでしょう。この鮮やかな色彩はサンゴ礁の海を訪れる人々の目を引き、これまで多くのダイバーやアクアリスト(サンゴをはじめとする水生生物を水槽で飼う愛好家)を魅了してきました。 サンゴの色彩は、サンゴの体内に共生する褐虫藻の色(主に茶色)とサンゴ自身が作る色素によって決まります。このサンゴ自身が作る色素のうち、主に「蛍光タンパク質」と呼ばれるタンパク質があの鮮やかな色彩を表しています。蛍光タンパク質といえば、2008年のノーベル化学賞は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を発見した下村脩博士が受賞しています。クラゲとサンゴは同じ刺胞動物の仲間なので、サンゴもこのGFPに類似した蛍光タンパク質を持っているのです。蛍光タンパク質は光の色を変換するタンパク質で、例えばGFPの場合だと、吸収した青色の光を緑色に変換して放出します。この放出された光を「蛍光」と呼びます。上の写真は実際にGFPをもつアザミサンゴに青色の光を当てた時の様子です。GFPによる緑色の蛍光がよくわかります。そしてこの蛍光タンパク質は、思わず目を奪われてしまうような蛍光を発するだけでなく、サンゴと褐虫藻にとって重要な役割を担っていると考えられています。 潮が引いた浅瀬や潮だまりの中では、サンゴは強い太陽光を浴びます。太陽光には紫外線や青色の光が含まれており、これらの光は褐虫藻が行う光合成の効率を大きく低下させます。このような強光によるストレスが長く続くと、サンゴが白化する原因の一つになります。これに対して蛍光タンパク質は、サンゴの体内で褐虫藻が浴びる太陽光を遮ったり、紫外線や青色の光をより害の少ない緑色の光に変換したりすることで、強光ストレスを軽減していると考えられています。サンゴが作る色鮮やかな蛍光タンパク質のマントが褐虫藻を覆うことで、褐虫藻を強光ストレスから守っているのです。 蛍光タンパク質の機能については、今回紹介した機能以外にも様々な仮説が唱えられており、現在も研究がなされています。サンゴ礁の海を彩る蛍光タンパク質にどのような機能が隠されているのか、その色鮮やかさ以上に興味をくすぐられますね。 執筆者 仲栄真 礁
 サンゴの色と言えば、皆さんは何色を思い浮かべるでしょうか?水族館やダイビングでサンゴを観察したことがある人なら、地味な茶色から青、赤、緑、紫、ド派手なピンクまで様々な色が思いつくでしょう。この鮮やかな色彩はサンゴ礁の海を訪れる人々の目を引き、これまで多くのダイバーやアクアリスト(サンゴをはじめとする水生生物を水槽で飼う愛好家)を魅了してきました。 サンゴの色彩は、サンゴの体内に共生する褐虫藻の色(主に茶色)とサンゴ自身が作る色素によって決まります。このサンゴ自身が作る色素のうち、主に「蛍光タンパク質」と呼ばれるタンパク質があの鮮やかな色彩を表しています。蛍光タンパク質といえば、2008年のノーベル化学賞は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を発見した下村脩博士が受賞しています。クラゲとサンゴは同じ刺胞動物の仲間なので、サンゴもこのGFPに類似した蛍光タンパク質を持っているのです。蛍光タンパク質は光の色を変換するタンパク質で、例えばGFPの場合だと、吸収した青色の光を緑色に変換して放出します。この放出された光を「蛍光」と呼びます。上の写真は実際にGFPをもつアザミサンゴに青色の光を当てた時の様子です。GFPによる緑色の蛍光がよくわかります。そしてこの蛍光タンパク質は、思わず目を奪われてしまうような蛍光を発するだけでなく、サンゴと褐虫藻にとって重要な役割を担っていると考えられています。 潮が引いた浅瀬や潮だまりの中では、サンゴは強い太陽光を浴びます。太陽光には紫外線や青色の光が含まれており、これらの光は褐虫藻が行う光合成の効率を大きく低下させます。このような強光によるストレスが長く続くと、サンゴが白化する原因の一つになります。これに対して蛍光タンパク質は、サンゴの体内で褐虫藻が浴びる太陽光を遮ったり、紫外線や青色の光をより害の少ない緑色の光に変換したりすることで、強光ストレスを軽減していると考えられています。サンゴが作る色鮮やかな蛍光タンパク質のマントが褐虫藻を覆うことで、褐虫藻を強光ストレスから守っているのです。 蛍光タンパク質の機能については、今回紹介した機能以外にも様々な仮説が唱えられており、現在も研究がなされています。サンゴ礁の海を彩る蛍光タンパク質にどのような機能が隠されているのか、その色鮮やかさ以上に興味をくすぐられますね。 執筆者 仲栄真 礁
 サンゴの色と言えば、皆さんは何色を思い浮かべるでしょうか?水族館やダイビングでサンゴを観察したことがある人なら、地味な茶色から青、赤、緑、紫、ド派手なピンクまで様々な色が思いつくでしょう。この鮮やかな色彩はサンゴ礁の海を訪れる人々の目を引き、これまで多くのダイバーやアクアリスト(サンゴをはじめとする水生生物を水槽で飼う愛好家)を魅了してきました。 サンゴの色彩は、サンゴの体内に共生する褐虫藻の色(主に茶色)とサンゴ自身が作る色素によって決まります。このサンゴ自身が作る色素のうち、主に「蛍光タンパク質」と呼ばれるタンパク質があの鮮やかな色彩を表しています。蛍光タンパク質といえば、2008年のノーベル化学賞は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)を発見した下村脩博士が受賞しています。クラゲとサンゴは同じ刺胞動物の仲間なので、サンゴもこのGFPに類似した蛍光タンパク質を持っているのです。蛍光タンパク質は光の色を変換するタンパク質で、例えばGFPの場合だと、吸収した青色の光を緑色に変換して放出します。この放出された光を「蛍光」と呼びます。上の写真は実際にGFPをもつアザミサンゴに青色の光を当てた時の様子です。GFPによる緑色の蛍光がよくわかります。そしてこの蛍光タンパク質は、思わず目を奪われてしまうような蛍光を発するだけでなく、サンゴと褐虫藻にとって重要な役割を担っていると考えられています。 潮が引いた浅瀬や潮だまりの中では、サンゴは強い太陽光を浴びます。太陽光には紫外線や青色の光が含まれており、これらの光は褐虫藻が行う光合成の効率を大きく低下させます。このような強光によるストレスが長く続くと、サンゴが白化する原因の一つになります。これに対して蛍光タンパク質は、サンゴの体内で褐虫藻が浴びる太陽光を遮ったり、紫外線や青色の光をより害の少ない緑色の光に変換したりすることで、強光ストレスを軽減していると考えられています。サンゴが作る色鮮やかな蛍光タンパク質のマントが褐虫藻を覆うことで、褐虫藻を強光ストレスから守っているのです。 蛍光タンパク質の機能については、今回紹介した機能以外にも様々な仮説が唱えられており、現在も研究がなされています。サンゴ礁の海を彩る蛍光タンパク質にどのような機能が隠されているのか、その色鮮やかさ以上に興味をくすぐられますね。 執筆者 仲栄真 礁